自分の可能性を信じて、いろいろなことに挑戦できる人になってほしい。自分の手で幸せをつかみとってほしい。そう願って、我が子に次のような言葉をかけていることはあり ませんか?
「〇〇ちゃんなら頭がいいからできるよ」 「あなたは賢い子」 「やれば何でもできる子だよね」
いい言葉はたくさん聞かせてあげたほうがいいと、普段から意識して声かけしているママも多いかもしれません。 しかし残念なことに、よかれと思ってかけた言葉が、最も避けたい事態を招くこともあります。「どうせ、うまくいきっこない」「自分には無理だからやりたくない」と、子ども たちは挑戦することをやめてしまうのです。
え?「賢いね」「あなたなら何でもできる」と励ましているのに、どうしてそうなっちゃうんですか? と、みなさん大変驚かれます。
事実は事実なので、はっきりお伝えします。「あなたなら頭がいいからできる」「賢い子」 「やれば何でもできる」とママに言われ続けたことが原因で、子どもたちは必要以上に失敗 を恐れ、未知の領域に挑戦できなくなってしまうことがよくあるのです。
言葉が原因なら言葉を変えればいい
うちの子が消極的で無気力なのはどうしてだろう? と悩んでいた原因を、まさかママ 自身が作っていたなんて、ショックですよね。そのことに気づいたときはみなさん、がっくり肩を落とされます。
でも、大丈夫! 言葉が原因ならば、言葉を変えていけばいいのです。今すぐに変えることができるのです。
私自身、「あなたは賢い」と子どもに言うことに何の違和感もなく子育てをしていたとき があります。当時、息子は落ち着きがなく、宿題が難しいと癇癪を起こして、じっと座っ ていることができない。頭を悩ませる日々が続いていました。そんな息子に大きな変化が 訪れたのは2015年の1月、私がポジティブ心理学プラクティショナーのクラスで最新 の自己効力感の研究をしっかりと学び、子どもたちへの声かけを変えたときです。
「できても、できなくてもいい。やってみよう」と自己効力感を育てる言葉を伝え始めたことによって、今では集中して学び、難しいことも投げ出さず、できないことでも落ち込 まないことが多くなりました。そして何より母親である私自身が変わったのです。できそうなことにしか挑戦しなかった私が、未知の領域にも挑戦できるようになりました。
子どもたちにはより多くのことにチャレンジして、いろいろ楽しんで生きていってほしい。その思いを変える必要はありません。変えるのは言葉だけ。ママの思いがまっすぐに 届く言葉に変えていくだけでいいんです。そして嬉しいことに、その効果は一瞬で表れます。
子どもたちは「未だ知らない世界にチャレンジしたい」「何でもできるようになりたい」 という気持ちを抱いて生まれてきます。 生まれ持ったチャレンジ精神そのままに、人生を喜んで歩んでいけるような声かけを、今日からしていきませんか。
子どもの「やりたい」気持ちに届くのは、どんな言葉だったらいいの? そのヒントを、事例と一緒にひとつずつご紹介していきます。 ママの言葉として紹介していますが、子どもに関わる全ての人に当てはめて読み進めてくださいね。
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2020年2月 松村 亜里